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建売住宅の売れ行きに急ブレーキ、いつの間にか首都圏の戸建てが売れなくなったワケ/楽待

2023/11/24 不動産ニュース

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首都圏、とくに東京区部では、新築・中古を問わず区分マンション価格は現在も上昇の一途をたどっている。こうした現象は戸建て住宅だけのようだ。

急激に値上がりした建売住宅 最近は価格も低下傾向で、在庫が積み上がっている状況

 

首都圏の新築戸建ての売れ行きに急ブレーキがかかっている。

 

コロナ下における巣ごもり需要で人気が高まり、急激に値上がりした建売住宅だが、最近は価格も低下傾向で、在庫が積み上がっている状況だ。

 

全国で建売住宅事業を手掛けるA社の担当者からは「昨年の11月末ごろから急に問い合わせ件数が減り、販売スピードが一気に鈍化した」との声も。

 

ただし、こうした現象は戸建て住宅だけのようだ。首都圏、とくに東京区部では、新築・中古を問わず区分マンション価格は現在も上昇の一途をたどっている。

 

新築建売市場で今何が起きているのか―。 現場の声やレインズ(東日本不動産流通機構)などのデータを用いて分析していく。

 

2022年後半から異変か

 

建売住宅の現在の市場状況について、建売住宅事業を全国で行っているA社の担当者に話を聞いた。

 

「現在、販売状況はかなり良くない。コロナ禍の影響による不動産価格の値上がりによって、建売用地を高値で仕入れる状況が続いた。結果的に土地の値上がり分は販売価格に転嫁することになったが、昨年までは順調に販売することができていた。雰囲気が変わったのは昨年の11月末ごろ。急に問い合わせ件数が減り、販売スピードが一気に鈍化した」という。

 

東京都下・神奈川県全域で建売事業を行うB社の担当者も「昨年仕入れた物件で未だに売れていないものもある。値引きを行って何とか成約につなげているが、用地を高値で仕入れている関係上、値引きできる範囲にも限界がある。なかには販売当初から1000万円値引きしてようやく成約できた物件もある」などと話す。

 

このような現場の声は、成約件数や価格にどう表れているのか。実際にレインズに登録された数字を見てみよう。昨年9月から今年9月までの動向は以下の通りとなった。

 

 

出典:レインズ「月例速報 Market Watch サマリーレポート2023年9月度」

 

東京都では昨年11月の成約件数が前年同月比マイナス25.5%と大幅に減少している。

 

マイナス幅に変動はあるものの、東京都では昨年10月から今年5月まで8カ月連続で成約件数は前年同月比を下回った。

 

神奈川県は東京都ほどではないものの、昨年11月の成約件数は同マイナス14%の2桁の減少率となり、販売価格は今年の6月から10月まで5カ月連続で同年同月比を下回っている。

 

 

出典:レインズ「月例速報 Market Watch サマリーレポート2023年9月度」

 

この数字だけをもって建売住宅の価格が下落フェーズに入ったと判断するのは早計かもしれないが、建売事業者の話などを勘案すれば、これまで上昇を続けてきた建売住宅価格は「調整期」に入ったと見るべきだろう。

 

「低額物件」が売れない

 

前出のA社とB社の担当者が口を揃えるのは、建売住宅のなかでも「低額物件」の売れ行きが良くないという点だ。

 

A社の担当者は「立地が良く、利便性が高いエリアの物件は高額になる傾向があるが、条件が良い物件は高くても売れている。一方で、駅から遠く利便性に欠けるエリアの物件や、住環境があまり良くない立地の物件は安くても売れない」と話す。

 

 

PHOTO/PIXTA

 

B社の担当者は「これまで郊外の低額物件を購入していた層は、所得がそれほど高くない層のため、物価高や金利高に大きな影響を受けているのではないか。逆に高額帯の物件を検討する層は、物価高や金利高双方の影響が小さいのでは」と分析した。

 

たしかに、世帯収入が低い場合、食料品など生活必需品が値上がりすれば新たな住宅費(住宅ローンなど)の負担割合が増加することは避けたいところだろう。

 

総務省によると、今年9月のCPI(コアコア、生鮮食品及びエネルギーを除く総合の指数)は前年同月比プラス4.2%と大幅に上昇し、今のところその上昇スピードが鈍化する気配はない。

 

また、金利高も収入の低い世帯にとっては頭が痛い問題だ。低収入でも住宅ローンが利用可能な「フラット35」の金利が急激に上昇しているためだ。

 

 

PHOTO/PIXTA

 

住宅金融支援機構によると、フラット35の金利は昨年1月には1.3%だったが、今年11月実行分は1.96%(借入期間が21年以上35年以下、融資率が9割以下、新機構団信付きの場合、最低金利)まで急上昇したのである。

 

市中銀行の変動金利型住宅ローンであれば、実行金利は短期プライムレートを基準にしているため、しばらくは上がりそうにない(それでも将来的には上がっていくだろうが)。

 

一方、フラット35は長期金利の動向に左右されるため、このところの金利上昇を受け、わずか1年ちょっとで0.6%以上の急上昇となった。

 

例えば、借入2500万円、35年返済の場合、金利1.3%なら毎月の支払いは7万5000円だが、金利1.96%の場合は毎月の支払いが8万3000円まで増えてしまう。

 

短期間での金利上昇は住宅取得マインドを低下させるのに十分な影響を与えたといえるだろう。

 

このように、低価格帯の物件が売れない理由は、コロナ禍の影響による物件価格上昇に物価高と金利上昇が追い打ちをかける格好となり、低所得世帯の住宅取得マインドが一気に低下したことが大きな要因ではないだろうか。

 

マンション市場は活況続く

 

不動産経済研究所によると、東京区部の新築マンション価格は2023年度上半期で平均1億572万円、前年同月比36.1%の大幅上昇となった。

 

契約率も好不調の目安とされる70%を上回る74%。販売在庫数も同マイナス11.8となっていることから、東京区部の新築マンション価格動向はまだまだ強含みで、来年以降もさらに上昇していく気配すらある。

 

また、首都圏の中古マンションの市場も底堅く推移している。

 

レインズの調査によると、首都圏の今年10月度の中古マンション流通概況は、成約件数が同プラス7%、価格が同プラス8.4%となり、中古市場でもマンション価格は底堅さを維持した。

 

 

出典:レインズ「月例速報 Market Watch サマリーレポート2023年10月度」

 

今後の動向は?

 

物価高と金利高は世界的な潮流なので、それを今すぐ止めることは不可能だ。しかし、建売住宅販売促進のために、物件価格を引き下げることは可能だ。

 

建売事業者が市場状況に合わせて用地仕入価格を低く設定すればよいのだ。

 

物件価格が本格的な下落フェーズに入ったと市場(事業者と消費者)が判断すれば、立地条件の良くない土地価格は今より低下していくことになるだろう。

 

物件価格が低下すれば、これまで物件価格高騰で手が出なかった低所得世帯も動き出すかもしれない。

 

 

PHOTO/PIXTA

 

筆者がこれまで経験した景気ショック(平成バブル崩壊、リーマンショック)では、まず利便性の良くない郊外の不動産価格が下落していき、その流れが伝播し、都心部の不動産市場にも影響を与えた。

 

だが、今回はその流れにならないかもしれない。今なお、都心部ではマンションデベロッパーの用地取得意欲は旺盛のようだ。

 

都心部で収益物件の保有・開発・売買を手がけるC社の担当者に話を聞いた。

 

「大手、中小にかかわらず、マンションデベロッパーは都心部での用地取得を意欲的に行っている。当社は用地取得では常にマンションデベと競合するが、彼らは今まで以上に高い金額で用地を取得している。マンション分譲事業は用地取得から販売まで2~3年以上かかる場合が多い。つまり彼らは2~3年後も新築マンション価格が今と同様かそれ以上の水準になると考えているはず」

 

仮に都心のマンション価格がこれまでと同様、もしくはこれまで以上の水準になるとしたら、不動産市場は都心部と郊外でかなりの格差が生じることになる。

 

もちろん、金利動向や物価動向、その他の要因によって将来の市場がどうなるかは分からない。

 

しかし、現状を踏まえるなら今後は、利便性の良い立地は高値で取引され、利便性の良くない立地は下落フェーズが続くという不動産の「二極化」がさらに進むことになるのではないだろうか。

 

 

不動産投資家にとって、将来の不動産価格動向は気になるところだが、市場がどうなっていくかを完璧に予測することは不可能だ。

 

だが、本稿で紹介したレインズの成約情報は、不動産取引を実際に行っている不動産業者が直に登録している情報のため、かなり正確でタイムリーな情報だ。

 

しかも、誰でも無料でこの情報にアクセスできる。レインズに限らないが、一般的な報道で得られる表面的な情報だけではなく、できるだけタイムリーで正確な情報に触れ、市場で今何が起こっているかをしっかり調査・把握し、現状を慎重に分析することで、自分なりの投資判断に役立てて欲しい。

 

 

 

 

参考元:【建売住宅の売れ行きに急ブレーキ、いつの間にか首都圏の戸建てが売れなくなったワケ |楽待不動産投資新聞 (rakumachi.jp)

 

 

 

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